米政府が18日の米韓外務次官級協議の際、韓国政府の北朝鮮に対する独自制裁に強い期待感を示した。米韓関係筋が明らかにした。米政府内には北朝鮮への人道支援を決めた韓国の意図をいぶかる声が出ている。18日の発言の背景には、トランプ米大統領の訪韓を前に、米韓関係を強化する思惑があったとみられる。
同筋によれば、サリバン米国務副長官は18日の協議で韓国の林聖男(イムソンナム)第1外務次官に「韓国政府が独自制裁を行う場合、ぜひ米国の制裁と同時に発表できるようにしたい」と持ちかけた。林氏は具体的な制裁内容には触れず、独自制裁を検討中という従来の韓国政府の立場を繰り返したという。
トランプ政権は、北朝鮮の核・ミサイル開発を防ぐためにロシアや中国企業などを独自に制裁。日本が米側に歩調を合わせて中ロなどの企業を制裁対象に加えたのに対し、韓国側は態度を保留している。
一方で韓国は9月、国際機関を通じて北朝鮮に計800万ドル(約9億円)の人道支援をすると発表した。米政府は人道支援には反対しないが、国際社会が北朝鮮への制裁を強めている時期での実施を懸念。サリバン氏は18日の協議で、支援時期を慎重に決めて欲しいとの考えを林氏に伝えた。
米財務省は26日、北朝鮮に対する独自の追加制裁を発表した。韓国外交省は27日、米制裁措置を「評価する」などとしたコメントを発表したが、韓国の独自制裁への言及はなかった。
トランプ氏は11月7、8両日の訪韓時の国会演説で、北朝鮮を強く批判するとみられる。米韓両政府は、同氏の訪韓までに北朝鮮に対する政策をできる限り一致させたい考えだ。(ソウル=牧野愛博)