判決後、一部文書の開示を認める判断を喜ぶ原告ら=19日午後3時17分、東京都千代田区、小玉重隆撮影
内閣官房長官の裁量で支出できる内閣官房報償費(官房機密費)の使い道について、市民団体が情報開示を求めた三つの訴訟の上告審判決が19日、最高裁第二小法廷であった。山本庸幸裁判長は一部文書の開示を認め、国の不開示処分を取り消した。
官房機密費の使い道の開示請求をめぐり、最高裁が判断を示したのは初めて。
訴えていたのは、大阪市の市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバー。小泉内閣(安倍晋三官房長官)の約11億円(1次訴訟)▽麻生内閣(河村建夫官房長官)の約2億5千万円(2次訴訟)▽第2次安倍内閣(菅義偉官房長官)の約13億6千万円(3次訴訟)――について、使い道の開示を求めていた。
大阪高裁は2016年2月、1、2次訴訟の判決で、一部の文書は「支払いの目的や相手などが特定、推測されるとは認められない」と判断。機密費の支出に関する文書のうち、官房長官が作成する「政策推進費受払簿」▽機密費の出入りを月ごとに集計した「出納管理簿」の一部▽大まかな用途別に支出額を分類した「支払明細書」――について、開示を認めた。
一方、大阪高裁の別の裁判長は同年10月、3次訴訟の判決で、個々の支払いの相手や具体的な使い道が分からなくても、当時の政治情勢や政策課題、官房長官の行動などに照らせば「相当程度の確率で特定できる」と指摘。開示範囲を狭め、「出納管理簿」の一部に限るとしていた。(岡本玄)