厚生労働省が来年度に導入する高齢者の介護予防や状態の改善に取り組んだ自治体に交付金を上積みする優遇策で、自治体などが「調整交付金」の一部を財源に充てるとする財務省案に反発している。成果や取り組みが不十分なら逆に交付金が減らされ、住民の納める介護保険料の負担が増す可能性があるためだ。
介護の交付金優遇、80項目の新指標案 自治体の取り組み判断
この調整交付金は、75歳以上の住民の割合と所得水準に応じて各自治体に配分され、介護保険の財源となっている。交付金の総額を増やさないまま一部を上積み分に回せば、評価が低い自治体への財源が減ることになる。国費が減った自治体は、65歳以上の介護保険料を増やして穴埋めする必要がある。
10日にあった社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会では、厚労省が「ケアプランの点検をどの程度実施しているか」「要介護の改善率」といった成果や取り組みを評価する80項目の指標案を示した。
自治体側からは財務省の財源案に対し、「小規模で高齢化率の高い自治体は取り組みの成果が出にくいので、一方的に(交付金を)削られかねない」(全国市長会)、「必然的に『罰則』が働く仕組みで、減額対象の自治体は介護保険料を引き上げて対応せざるを得ない」(全国町村会)と反発する声が相次いだ。(松川希実)