インタビューに答えるロス米商務長官=5月18日、ワシントン、ランハム裕子撮影
「パラダイス文書」を元にした取材で、ロシアのプーチン大統領と近い同国企業との利害関係が明らかになったロス米商務長官について、同省報道官は14日、「ロス氏は近く(問題とされた)株をすべて売却する」と表明した。米トランプ政権の「ロシア疑惑」が続く中、問題に幕引きを図ろうとするものだが、野党民主党は追及を続ける姿勢だ。
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国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の取材に対して回答した。ロス氏側はこれまで欧米メディアに「倫理基準を守っている」「指摘されたロシア企業自体は制裁対象ではない」などと、利益相反を否定。株の保有についても悪質性を否定していた。
この問題をめぐっては、民主党の上院議員6人が13日、商務省監察官に対して調査の開始を要請した。ロス氏の個人資産の総額を解明することや、商務長官の倫理基準に沿っていたか、職務との利益相反がなかったか確認することを求めている。民主党議員は、同様の調査を米政府監査院(GAO)にも要請した。
ロス氏は商務長官に就任する際、利益相反を避けるために大半の保有資産を手放すことを宣誓し、米上院に承認された。だがパラダイス文書を元にした取材で、タックスヘイブン(租税回避地)にある複数の法人を介して海運会社「ナビゲーター」(ナビ社)の株を保有し続けていたことが判明。ナビ社は、プーチン氏の娘婿が取締役を務めるロシア企業を大口取引先としており、これまでに6800万ドル(約78億円)の収益を上げた。一部がロス氏に回っていたとみられている。(野上英文、高野遼)