井上真央さん=村上健撮影
「明日の約束」に主演
ふわりとして、どこかつかみきれない。でも親しみやすさの奥に、確かに感じる強さが。「すごく優柔不断なところがある。だけど一回決めたらあんまりぶれないかな」
井上真央さん「葛藤や悩み、自分を奮い起こせる力に」
放送中のドラマ「明日の約束」(フジ系、火曜夜9時)で演じる藍沢日向(ひなた)は、スクールカウンセラーとして勤務する高校で生徒の謎の死に直面する一方、家庭では過干渉の母に抑圧される。ただ、あくまで、生徒とスクールカウンセラーの物語を軸にしていきたいという。
「誰でも仕事をしていく上で、人にはいえないことを抱えていると思うんです。それに向き合いながらも、出すのではない、そういう主人公にしたい」。俳優としてのこだわりと、一人の人間としての実感が混じり合う。「人ってそうだよねって思う」
子役時代から活躍し、NHK朝ドラや大河で主演を務めるなど、一線で活躍し続けてきた。重圧も相当なものだっただろう。貪欲(どんよく)さが必要だと思っていたという。「そこまで考えなくてよかったんじゃないかということもあった」と振り返る。「年齢が関係あるのかな。失敗や悩みを重ねながら、だんだん自分を奮い起こせる力が付いてくる」。次第に発想を転換することが出来るようになったらしい。例えば、“優柔不断”を“柔軟”という風に。
今年、30歳を迎えた。純粋に芝居に向き合って、楽しむのがいまの願いだ。「自分自身がこうしたい、こう見られたいという欲がなくなってきた」という。「欲って出し過ぎると良くない。駄じゃれみたいですけど」。ふふふ、と柔らかく笑った。(文・滝沢文那 写真・村上健)