女子500メートルで優勝した小平奈緒=時事
(17日、スピードスケートW杯第2戦・女子500)
岡崎朋美を超えた! 小平が2勝上積み、W杯通算14勝
女子500メートルのレース2日前のことだった。リンク脇にあるトレーニング場で小平が、一本歯のげたを履いたまま、体をゆっくりと動かしていた。以前は物珍しそうに見ていた海外選手たちにも、今や見慣れた光景になりつつある。このメニューに、連勝街道をひた走る31歳の強さがある。
両ひざを伸ばしたり、曲げたりしながら感じているのは自らの「重心」だ。速く滑るには、より大きな力で長く氷を押せるかが重要で、その分だけ加速を生むことができる。
このレースでも、左右の足の瞬間的な切り返しの中で、ブレード(刃)を着氷させたらすぐに氷を押した。一瞬のパワーでは小平を上回る海外スプリンターはいるが、小平ほど氷を長く押せている選手は数少ない。「しなやかな滑り」の神髄はここにある。
最初の100メートルも力に頼って走らず「滑らせる」。出場選手中トップの10秒24で通過。さらに加速し、昨季ここで出したリンク記録を0秒06更新した。「動きのタイミングが合って、氷をさらに早くとらえられれば世界記録(36秒36)にも近づいていける」
これでW杯通算13勝目。小学生のころ、テレビで見て憧れた長野五輪銅メダリスト・岡崎朋美を抜いて日本女子歴代最多となった。(榊原一生)