会見する松本智津夫死刑囚の四女(右)=東京・霞が関の司法記者クラブ
オウム真理教元代表の松本智津夫死刑囚(62)の四女(28)が21日、都内で記者会見した。四女はこれまで個別の取材に応じたり、本を出版したりしたことはあるが、記者会見をするのは初めてだという。
松本死刑囚の四女「16年間、戦場にいるような緊張が」
四女は松本死刑囚とその妻(59)によって、教団の教義を教え込まれ、虐待を受けたとして、松本死刑囚ら両親を相続人から除外するよう訴えを起こした。両親との関係を解消したいという思いからだという。横浜家裁が今年10月、除外を認め、これを機会に今回限りという思いで会見を決めたという。会見で、いまも後継団体に若い信者がいることについて問われると、四女は「教団が言っていることをうのみにせず、自分で考えてほしい」と投げかけた。
また、会見に同席した四女の代理人の滝本太郎弁護士は、手続きの過程でわかった松本死刑囚の近況を明らかにした。9月に東京拘置所で開かれた審問に松本死刑囚は出頭しなかったが、拘置所からは「聴力は保たれ、明らかな精神的障害は生じていないと診断されている」と説明があったという。運動や入浴などで居室を出ることには抵抗しないが、審問の日はかたくなに拒否したという。
四女を巡っては、2007年3月にジャーナリストの江川紹子さん(59)が後見人となったが、同年7月に四女が家出して音信不通になり、後見人を辞退した。この日の会見に出席した江川さんに対し、四女は「ご迷惑をおかけした。当時はまだ洗脳が解けていなかった」と謝罪した。
江川さんは「本当に教団と関係が切れたのかは分からないが、一人で生きていくという決断を聞いてほっとした。できるだけ普通の人生を送れるといい」と話した。(後藤遼太)