インタビューに応じるソニーの平井一夫社長=東京都港区のソニー本社
長年にわたり業績の低迷に苦しんできたソニーが元気を取り戻している。2012年4月に社長に就任し、構造改革を進めてきた平井一夫氏に話を聞いた。
28歳課長が仕切るスマートウォッチ ソニーらしさ模索
ソニー、テレビでV字回復 自前開発強化「量より違い」
高画質カメラ、ソニーの挑戦 「プロ評価のブランドに」
躍進支えるスマホゲーム ソニーの収益に貢献、次は映画
――5年前に4566億円の最終赤字を計上しましたが、ここに来て業績が回復し、社内が明るくなっていると聞きます。
「社長室のある20階にいてもおもしろくないので、このビル、そして世界中の現場によく出て社員と話しますが、目の輝きが違ってきました。一番大きいのは業績の回復で、エレクトロニクス全般で利益を出せるようになりました。10年連続で赤字だったテレビ事業は数百億円の利益貢献をしています。商品力の強化も進みました。今年発売した有機ELテレビ『BRAVIA(ブラビア) A1』もそうですし、一番業績がつらいときに始めた新規事業創出プログラム『SAP』でもユニークな商品が次々と出ています。社員一人ひとりがリスクを取ってもチャレンジするという前向きな雰囲気が出てきました」
――通期での営業利益は、過去最高の水準です。
「1997年度に過去最高の5257億円を出しています。結果を出すことは大事ですが、最高益はそこまで気にしていません。大事なのは、来年も再来年もその高い利益を維持していくこと。最高益をみんなで万歳して、来年にガツンと落ちたら何の意味もありません。最高益より、安定した経営を続けることを意識しています」
――過去、計1万5千人をリストラするなど厳しい局面もありました。
「リストラはいつやっても大変苦しく、影響を受ける社員がいます。非常に難しい判断でしたが、苦しい局面を乗り越えるために、問題を先送りにするのは絶対に嫌でした。元気なソニーが将来に待っていると信じていました」
――当時、売り上げが減少し、固定費が重荷でした。
「最初から最後まで全部見直し、直すものは即直すというように進めました。販売会社の固定費はもちろん、本社自体も売り上げ規模に見合わない人数がいました。日本の事業部もビジネスに見合うのかどうかの視点から構造改革を進めました」
――他社に、AI(人工知能)やロボット分野の優秀な技術者が流出したとも聞きます。
「リストラとは関係ないと思い…