グランプリ(GP)シリーズ・フランス杯男子フリーで演技するミーシャ・ジー=11月18日、ロイター
フィギュアスケート男子で、選手と振付師の「二刀流」で活躍するスケーターがいる。ウズベキスタンのミーシャ・ジー(26)だ。11月のグランプリ(GP)シリーズ・フランス杯で、ショートプログラム(SP)、フリーともに自己ベストを更新し、合計258.34点で3位に入った。
フィギュア特集 Kiss and Cry
ジーは2011年から7年連続で世界選手権に出場しているベテラン。フランス杯SPは6位と出遅れたが、フリーはマスネ作曲「タイスの瞑想(めいそう)曲」を情感たっぷりに演じた。4回転を入れない構成をほぼミスなく滑り、GP5季目で初のメダルを獲得した。
振付師としては、GPシリーズNHK杯で優勝した男子のセルゲイ・ボロノフ(ロシア)をはじめ、今夏は19作品を手がけたという。自ら出場する試合では、振り付けした他の選手と対決することになるが、「目標は、自分にも彼らの作品にもベストを尽くすことだ」と話す。
選手との両立については「自分のコンディションを維持するとともに、選手たちの作品を手直ししていかないといけない。とてもハードだが、この機会に感謝している」と言う。
男子は「4回転時代」といわれる。フランス杯でともに表彰台に上がったハビエル・フェルナンデス(スペイン)、宇野昌磨(トヨタ自動車)も、4回転ジャンプを得点源にしている。だが、ジーはSPもフリーも4回転ジャンプを構成に入れていないが、豊かな表現力と高い完成度で魅了した。
記者会見では、フェルナンデスが「どのようなスケートをするかはスケーター次第。良い演技であるならば、4回転をいくつ跳んだかは関係ない」と話すと、ジーも「(技術面や芸術面で)スケーターそれぞれの才能がある。ベストを尽くすことが大事。フィギュアスケートは総合力のスポーツ」と応じた。
ウズベキスタンのフィギュアスケートの発展に貢献したいというジー。一度は引退も考えたが、五輪シーズンとなる今季の現役続行を決めた。選手として振付師として、リンクを輝かせる。(浅野有美)