夜の「錦三」。客引きに誘われ、ネオン街に消えていく客が絶えない=名古屋市中区錦3丁目
忘年会シーズンに入り、活気を見せる繁華街。悪質なぼったくり店の摘発を目的に愛知県ぼったくり防止条例が7月に施行されてから約半年が経つ。県警が取り締まりを強めるなか、繁華街の客引きが警戒している様子がうかがえる。
夜の名古屋市中区錦3丁目、「錦三」。2軒目を探すサラリーマンらの姿が増え出すと、ひざ丈のダウンを着た客引きの男たちが街に繰り出す。
「なんでもありますよ」「ガールズバーはどうですかね。70分3千円の明朗会計なんで」。同僚記者と歩くと、短髪の男が声をかけてきた。紹介を頼んでみると、近くにいた後輩風の小柄な男に引き継がれた。
小柄な男は終始こわばった表情。小走りで店まで案内しつつ、「お兄さんたち警察と疑われてましたよ。そうだったら捕まっちゃうんで。最近特に厳しいんです……」。店とのつながりを薄めようとしたのだろうか。店まで案内すると思いきや、「ここまでなので」と店のビルのエレベーター前で離れていった。
県警は条例施行後、取り締まりを強めている。
特に鍵となるのが、路上での客引き行為だ。料金トラブルは、客引きに連れられて入った店で起きることがほとんど。元々しつこい客引き行為は県迷惑防止条例で禁じられていたが、新条例では、違法な客引きで連れられた客を受け入れる店も摘発対象になった。
県警は条例の施行直後から今回の条例を適用し、私服警察官を立ち入れるなどした錦三周辺のフィリピンパブなど4店舗の経営者らを逮捕した。
条例では店を立ち入り検査することも可能になり、過去にトラブル相談があった店を中心に進める。県警によると、指名料や席料を客に示さず「TAX料金」と称して請求したり、飲み物の値段を「ウイスキー○○円~」などとあいまいにしたりしていた店があったという。
摘発や立ち入りの結果、12店…