東レは27日、子会社「東レハイブリッドコード」(THC、愛知県西尾市)の品質データ改ざん問題に関して、有識者委員会(委員長=藤田昇三・元名古屋高検検事長)の報告書を公表した。報告書は、納期を優先し多少の規格違反ならば許されるという意識が担当者にあったと指摘。顧客に対する報告の遅れも、見直しの余地があるとした。 東レ子会社でデータ改ざん タイヤ補強材、不正書き換え 東レ社長「公表するつもりなかった」 子会社改ざん問題 報告書は、東レの調査結果の内容や発表の経緯について検証。昨年7月に見つかったタイヤ補強材のデータ改ざんそのものは、安全上の問題や法令違反はないと判断した。新たな不正は見つからなかった。 改ざんは2人の品質保証室長が行っており、組織的なものではないとした。品質保証室は人員不足で室長の負担が増大。室長は再測定などの手続きをしたのでは納期に間に合わないとみて不正に踏み切った。THC経営陣の品質保証に対する関心が薄く、現状把握を怠ったことが問題の本質的な原因だとした。 不正の調査が今年2月までに一定程度まとまったが顧客への報告が10月までずれ込んだことに対し、「批判の対象となりうる」と指摘。早い段階で報告する選択肢もありえたとした。 東レは報告書を受け、グループ全体の品質保証本部を新設し、統括する役員を任命してコンプライアンス(法令や社会規範の順守)を強化する。THC前社長はすでに更迭したが、他の関係者の処分も検討する。 有識者委はグループ全体の不正の有無についても調査をしており、来年3月末までに報告書をまとめる。 東レの日覚(にっかく)昭広社長は「今回の報告書の提言を真摯(しんし)に受け止め、東レグループ全体の品質保証コンプライアンスの強化と再発防止策に徹底的に取り組む」とのコメントを発表した。 ◇ 〈東レ子会社のデータ改ざん〉 東レ子会社で製造する、タイヤの強度を保つための「タイヤコード」と呼ばれる部材について、2008~16年、当時の品質保証部門の責任者2人が、強度などの品質データを顧客と取り決めた規格に合うよう書き換えていた。改ざんは計149件行われ、13社に出荷された。 |
東レ子会社、規格軽視か データ改ざん、有識者委が指摘
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