女子5000メートルで優勝を決めた押切美沙紀(奥)は同走の高木菜那と抱き合い涙を流した=30日午後、遠藤啓生撮影
(30日、スピードスケート五輪代表選考会・女子5000メートル)
前日まで、得意の1500メートルで4位。3000メートルでも4位。あと一歩のところで平昌五輪代表を確実にできず涙を流してきた押切美沙紀(富士急)が、最終日の5000メートルでやっと笑った。「一安心、というのが一番です」。1位で代表の座を自力でつかんだ。
4年前のソチ五輪は1500メートルに出て22位に終わった。その後、「粗削り」だったスケーティング技術をナショナルチームで磨いた。だが昨年に股関節を痛め、今年10月の全日本距離別でも記録が伸びず泣いた。前日までも奮わず「何度も心が折れた」。
だが、指導を受けてきたデビットコーチの「1レースごとに良くなっている」という言葉を信じた。ラストチャンス。意地でただ一人、1周34秒台を最後までキープした。
女子で最も長い距離を滑る5000メートル。短、中距離に比べ、世界との実力差が大きい種目だ。11月のワールドカップでは表彰台に上がった3選手は全員6分台で滑った。押切は「私の長所は根性。諦めず頑張る滑りを見せたい」と誓った。(菅沼遼)