往路で4位に入った後、笑顔でインタビューを受ける拓大の岡田監督
箱根駅伝で2日、往路4位と躍進した拓殖大を率いるのは、今大会の最年長指揮官でもある岡田正裕監督(72)だ。かつて、実業団女子のニコニコドーで1988年ソウル五輪1万メートル代表の松野明美さんを育てた名将。そして箱根では12年前の第82回大会で、優勝候補とは言い難かった母校・亜細亜大を初の総合優勝に導いた、その人だ。大混戦に強いベテラン監督が復路で打つ次の一手とは?
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「番狂わせに自信」
「今年は番狂わせを起こせる自信があった」。2010年2月に拓大監督に就いて8年目。元々ロードには強いが、スピードが課題の選手が多かった。今季は練習拠点にほど近い味の素スタジアム(東京都調布市)の協力もあって「1週間に1、2回、トラックでスピード練習をさせてもらってきた」という。
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往路では、その練習が生きた手応えがあった。2区で区間賞を取った山梨学院大のニャイロ(3年)と終盤まで競り合ったデレセ(3年)、4区でチームを4位に押し上げた主将の西(4年)、終盤に失速して区間11位ながら、最後は法大の追い上げを執念でかわした5区の戸部(3年)も。
「みんな競ったときに崩れず、スピード負けしなかった。トラックでの練習のおかげでしょう」と岡田監督も満足げだ。
12年前に亜細亜大V導いた
12年前に亜細亜大を総合優勝に導いた時は、優勝候補が次々と崩れて、優勝が転がり込んできた。その年は往路優勝が順大、復路優勝は法大、総合優勝は亜細亜大とまさに大混戦。往路も復路も制していない大学が総合優勝するパターンは、この時の亜細亜大を最後に出ていない。
今大会も出雲で勝った東海大、全日本を制した神奈川大が往路でトップから大きく引き離されて復路を迎える、波乱含みの展開だ。
復路の勝負手は
岡田監督は、復路のポイントとしてまず山下りの6区を挙げた。「タイムよりも順位を守れ、と私は言っています。まあ何とかなると思います」
そして当日のエントリー変更で、1年生の石川佳樹を7区で起用する勝負手を前日に早くも披露。「(石川は)いま勢いがある。ここ3、4回、走るごとに自己記録を更新しているので、その勢いを買います」
12年前の再現は? 岡田監督は「ワッハッハ、それは無理だよ」と話した後、こう言った。「まずはシード権(10位以内)確保。8位、いや7位とかで行ければ最高だね」(平井隆介)