国の制度融資で不正を繰り返した政府系の商工組合中央金庫(商工中金)のあり方を見直す有識者会議が11日、提言を取りまとめた。不正の温床となった制度融資の「危機対応業務」を大幅に縮小し、経営陣はトップを含めて社外の人材を登用。地域金融機関と連携して中小企業支援に特化し、4年後の完全民営化を目指すよう求めた。
過大なノルマで不正まみれに 商工中金、根深い隠蔽体質
経済産業省の有識者会議(座長=川村雄介・大和総研副理事長)が昨年11月からの議論を踏まえ、11日午前の会合で提言をまとめた。ほぼ全店で不正があった「危機対応業務」は、リーマン・ショックなどの後もデフレ対策などを名目に続けられ、商工中金は不正に国の利子補給を受け、低利融資を行った。有識者会議では「民業圧迫」への批判が強く、今後の危機対応業務は大規模災害など「真の危機時」に限定し、大幅に縮小するよう求めた。
経営陣が不正を黙認したことも問題視し、独立した第三者委員会を設けて経営をチェックすることや、取締役の過半数を社外から起用することも求めた。
一連の改革は、完全民営化の方向で今後4年間取り組む。ただ、中小企業に政府系として存続を求める声があることにも配慮し、4年後に改革の動向を検証したうえで、完全民営化するかどうかを判断する。
商工中金は政府が46・5%を出資する。かつての公的金融改革で完全民営化の方針が決まったが、リーマン・ショックなどで公的金融の必要性が高まったとして、2015年に先送りされた。(伊藤舞虹)