木造化が検討されている名古屋城天守=名古屋市中区
名古屋市は、2022年末の完成を目指す名古屋城天守木造化について市民向けの説明会を始めた。木造化の狙いや進み具合、5月からの現天守入場禁止措置などを伝えている。24日まで計5回開催。28日には中区で河村たかし市長が出席するシンポジウムを催す。
市は昨年11月、木造新天守にエレベーターを設置せず、代わりに階段にリフトを設ける方針を示した。しかし、障害者団体は筋力が弱くリフトが利用できない人がおり、安全性の検証も不十分と指摘している。
16日に西区で開いた初回には約100人が参加。説明会でも、障害者から「どうすればいいか不安」とエレベーターの設置を求める意見が出た。現天守のような外付けのエレベーターを提案する人や、木造化自体に反対する人もいた。
市の担当者は「史実に忠実な復元が基本だが、様々な方に喜んでもらいたい」と答え、障害者や高齢者に聞き取り調査をし、3月までにエレベーターについて結論を出す方針を示した。
市は天守台石垣を調査するため、大型連休明けの5月7日から現天守の入場を禁止することも報告。天守台石垣は経年劣化や戦災で傷み、修復に向けた現状把握が課題だ。そのため、市は20年6月に予定する天守木造化の着工に先立ち、石を取り外すなどして石垣を調べる。現天守の入り口付近で作業するため、観光客らの入場を禁止する。
一方、名古屋城周辺では、民間がつくる観光エリア「金シャチ横丁」が3月29日に開業する。正門近くの「義直ゾーン」に12店舗、東門近くの「宗春ゾーン」に7店舗、飲食や物販のテナントが出店する。
6月8日からは、復元工事が進む本丸御殿が全面公開される。本丸御殿は江戸初期の1615年に完成した近世城郭御殿の傑作。戦前には天守などと共に旧国宝に指定されていたが、1945年の空襲で焼失。2009年に復元工事が始まり、13年以降、表書院や対面所など復元できた場所から順に公開していた。(関謙次、諸星晃一)