25日午前、韓国に到着した金英哲氏(前列右)=東亜日報提供
北朝鮮の金英哲(キムヨンチョル)朝鮮労働党副委員長ら高位級代表団が25日午前、陸路で韓国を訪れた。27日まで滞在し、25日夜に開かれる平昌冬季五輪の閉会式に出席するほか、文在寅(ムンジェイン)韓国大統領や情報機関の徐薫(ソフン)国家情報院長とも会談する見通しだ。
金氏は南北関係を統括する党統一戦線部長を務める。工作機関の軍偵察総局長時代の2010年3月に起きた韓国軍哨戒艦沈没事件に関与したとの指摘がある。韓国では事件の遺族や野党などが金氏の訪韓に強く反発している。
一方、北朝鮮のアジア太平洋平和委員会は24日、ペンス米副大統領が金正恩(キムジョンウン)党委員長の実妹、金与正(キムヨジョン)氏を中傷したとして、米国とペンス氏を非難する報道官声明を発表した。朝鮮中央通信が25日、伝えた。
声明は「われわれの最高尊厳と体制を冒瀆(ぼうとく)する者は誰であれ、どこに居ようと探し出して無慈悲に懲罰する」と強調。「ペンスのような人間のくずを従えるトランプ(米大統領)も知るべきだ」と訴え、「我々は米国との対話を哀願しない。米国は愚かな悪態の代価を支払う」と強調した。
韓国にはトランプ氏の長女、イバンカ大統領補佐官も滞在中で、五輪閉会式に出席する。米韓両国は、イバンカ氏らと金英哲氏らが韓国で接触する計画はないとしている。
また、「労働新聞」(電子版)は24日、「平和で繁栄する世界を願う国なら、帝国主義者の欺瞞(ぎまん)的な援助に幻想を抱いてはならない」と主張した。韓米同盟を揺さぶり、韓国と米国を離間しようとする狙いがあるとみられる。(ソウル=牧野愛博)