熊本YMCAが制作した動画=熊本YMCA提供
いじめのない社会をめざし、みんなで一斉にピンクのシャツを着て思いを表す「ピンクシャツデー」の運動が広がりつつある。今年は2月28日がその日。熊本YMCAは、子どものSOSに気づこうと呼びかける約1分半の動画を作り公開した。シャツを着るだけでなく、周囲の子どもの悩みを聞いてあげてほしいというメッセージを込めた。
ピンクシャツデーは、2007年にカナダの高校でピンクのシャツを着ていた少年がいじめられ、暴力を受けた出来事がきっかけ。他の生徒がSNSで「ピンクのシャツで登校しよう」と呼びかけ、数百人の生徒が賛同した。これを機に、ピンクのものを身につけてイベントやパレードをする動きが世界中に広がり、2月の最終水曜日に各地で実施されている。
全国のYMCAは2016年からこの活動に取り組む。
熊本YMCAの動画は、職員ら7人が出演し、ピンクのシャツを着るだけでなく、「最近元気ないね」「いつでも連絡ちょうだいね」などと語りかける。子どもたちが発するサインに気づけるよう意識し、声をかけてほしいというメッセージを込めた。事務局次長の冨森靖博さん(45)は「いじめを受ける子ども自身より、周りの大人に見てほしい」と話す。
冨森さんは、悩みを聞くのは「斜めの関係の大人」が理想的と考えている。いじめを受けた経験がある人に聞くと、多くが「親や先生には話せなかった」と言う一方、塾の先生や年上のいとこらには悩みを打ち明けていた。こうした「斜めの関係」を見つけるにはインターネットも有効と考え、動画ではSNS投稿用のハッシュタグ「#kikasete」を紹介。いじめについて発言する際につけてほしいと呼びかける。
動画は熊本YMCAのホームページから見ることができる(
http://www.kumamoto-ymca.or.jp/portal/20757.html
)。
制作費用やPRの経費をクラウドファンディングで募っている。詳細は「ジャパンギビング」のサイトで(
https://japangiving.jp/campaigns/33784
)。(池上桃子)