スペインからの独立運動を率いてきた同国北東部カタルーニャ自治州のプッチダモン前州首相は１日、州首相への返り咲きを断念する意向を表明した。同氏は、一方的な独立の動きで反乱罪の容疑がかけられてベルギーに逃れている。独立派がその代わりに検討するのは、同じ容疑で勾留中の別議員。再び異例の候補となる可能性がある。

スペイン中央政府は昨年秋、同州の自治を停止して州議会を解散。１２月の出直し議会選で過半数を保った独立派は、ベルギーに滞在したままのプッチダモン氏を首相候補に決めた。ところが憲法裁判所は「議会の討論に出席する必要がある」と指摘した。帰国すれば身柄を拘束される可能性が高い同氏の選出手続きは進まず、州政府づくりはストップしている。

州議会は１日、「プッチダモン氏は正統な候補だ」とする決議を採択したが、同氏はビデオメッセージで「すみやかに州政府をつくる必要がある」と強調。独立派が内部で検討してきた人選に沿って、独立推進団体「カタルーニャ民族会議」の議長を務めるサンチェス州議会議員を推す考えを示した。ただし、サンチェス氏も反乱罪の容疑で勾留されている。

スペインメディアは「逃亡中の州首相は想像不能だが、勾留中の州首相を思い描くのも難しい」という中央政府の声を伝えている。

プッチダモン氏はまた、政治参加の権利がスペイン政府に奪われているなどとして、国連の人権関連部門に訴えたと表明した。（パリ＝青田秀樹）