14日、ソウル中央地検に出頭する韓国の李明博(イミョンバク)元大統領=ロイター
韓国の李明博(イミョンバク)元大統領(76)は14日午前、ソウル中央地検に出頭した。大統領在任中に情報機関の国家情報院に領収書のいらない「特別活動費」を大統領府に上納させたり、自身が実質所有者と疑われている自動車部品会社を通じて裏金をつくらせたりした疑惑について、検察が出頭を求めていた。韓国の大統領経験者が退任後に捜査を受けるのは李氏で5人目。
李氏は同地検に到着後、記者団に「国民の皆様に心配をかけて大変申し訳ない。願わくは歴史で今回のことが最後になってほしい」と述べた。李氏はこれまで自身への捜査を批判しており、容疑を否認するとみられる。
検察の捜査は「積弊(旧来の積み重なった弊害)清算」を掲げる文在寅(ムンジェイン)政権のもと、昨年10月に本格化。国情院の特別活動費上納疑惑については、2月に李政権の元大統領府総務企画官らが収賄罪で起訴された。その際、起訴状に李氏を「主犯」と記しており、検察の逮捕状請求は避けられないとの見方が出ている。ただ、容疑が多いことから取り調べは長時間に及び、逮捕状を請求するかの判断は後日になる見通しだ。
一方、李氏が実質所有者と疑われている自動車部品会社をめぐっては、多額の使途不明金が李氏の裏金だったのではないかとして、検察は同社役員だった李氏のおいや長男らへの事情聴取を重ねてきた。
このほか、同社が140億ウォン(約14億円)に上る投資資金を回収する際、国家機関を介入させた職権乱用疑惑や、米国での多額の訴訟費用をサムスン電子に負担させた疑惑などについても捜査を進めている。検察が捜査している収賄容疑の総額は100億ウォン(約10億円)以上とされる。
韓国の大統領経験者は、1995年に盧泰愚(ノテウ)氏と全斗煥(チョンドゥファン)氏、2009年に盧武鉉(ノムヒョン)氏、昨年には朴槿恵(パククネ)氏が被疑者として検察に取り調べを受けた。盧泰愚氏と全氏は実刑が確定(のちに特別赦免で釈放)し、盧武鉉氏は自殺したため、捜査が止まった。朴氏については検察は今年2月、収賄罪などの罪で懲役30年を求刑した。(ソウル=武田肇)
被疑者として検察の取り調べを受けた大統領
●盧泰愚(ノテウ)氏
1995年11月1日出頭
主な容疑:内乱、収賄罪
結果:懲役17年、追徴金2628億ウォン(97年に特別赦免で釈放)
●全斗煥(チョンドゥファン)氏
1995年12月3日逮捕
主な容疑:軍反乱、内乱、収賄罪
結果:無期懲役、追徴金2205億ウォン(97年に特別赦免で釈放)
●盧武鉉(ノムヒョン)氏
2009年4月30日出頭
主な容疑:収賄罪
結果:自殺により捜査中断
●朴槿恵(パククネ)氏
2017年3月21日出頭
主な容疑:収賄、職権乱用罪
結果:一審公判中、懲役30年求刑
●李明博(イミョンバク)氏
2018年3月14日出頭
主な容疑:収賄、職権乱用罪
結果:?