通算50勝目を挙げた明徳義塾の馬淵史郎監督(右)=25日午前、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、遠藤真梨撮影
(25日、選抜高校野球 明徳義塾7―5中央学院)
サヨナラHR被弾に「1球で終わるんだ」中央学院・大谷
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春夏通算50勝目。節目の勝利が劇的なサヨナラ本塁打で決まった瞬間、両手を突き上げて、ベンチを飛び出して喜んだ。「跳びはねて喜んでいました。この試合は忘れられないでしょうね」。百戦錬磨の明徳義塾の馬淵史郎監督(62)は目を細めて、そう言った。
一回に3点を先行。八回に逆転されたが、九回2死からつないで、最後は4番・谷合悠斗のバックスクリーンへの本塁打でサヨナラ勝ち。「野球は怖い。谷合には厳しいボールばっかりやったのに、最後だけ甘い球がきたというか、失投を逃さなかったというか」。谷合はこの打席まで4打数無安打だったが、「やってくれるんじゃないかな、という期待はあった。こっち(関西)に来て、5本も打っとったから。練習から打球は別格ですから」と信じていた。
数々の名勝負を繰り広げ、勝負の酸いも甘いも知り尽くしている。「勝負事は勝たなアカンね。勝つと負けるではえらい違い。こういう勝ち方したら、ここからバイオリズムが上がっていくかもしれんね」。九回の攻撃前、選手たちには「こういう苦しいゲームをひっくり返して勝たないと優勝戦線には残れん。優勝戦線にいきたかったら、ひっくり返せ」と発破をかけた。そして、2死まで追い詰められてからの逆転勝利を飾った。報道陣から、この先は思い切って采配できるのでは、と問われて言った。「命拾いした人ほど命を大切にするって言いますから。大切にしようと思います」
テレビのインタビューが終わり、お立ち台に腰掛けてゆっくりと語り出した。「50勝やけど、落とした勝ちもあるし、拾った勝ちもある。野球に負けて、勝負に勝ったゲームもあった。あっという間の50勝。勝負に対する執念があるから続けとるけど、これがなくなったら女房と温泉旅行にでも行こうかな」。球児と同じような笑顔を浮かべた。(大西史恭)
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馬淵監督(明)が甲子園通算50勝 中央学院を破って達成。1990年に監督就任して春19勝、夏31勝。
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毎回奪三振 市川(明)が中央学院戦で記録。
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高知と千葉の対戦は33大会ぶり 選抜大会で両県勢が対戦したのは第57回大会(1985年)の伊野商5―1東海大浦安以来で、通算成績は2勝2敗に。明徳義塾は選抜42試合目で千葉県勢との対戦は初めてだった。