豊国神社の境内に植樹されたクローン桜=名古屋市中村区
名古屋地方気象台は27日、名古屋市で桜が満開になった、と発表した。昨年より10日早く、統計開始以来、1990年に並んで最も早い満開という。
季節の花
気象台によると、名古屋市千種区の標準木のソメイヨシノが約80%以上、咲きそろっているという。26日の平均気温(名古屋市)は14・5度で、ここ数日高かったことが影響しているという。
秀吉ゆかりのクローン桜 生誕地に植樹
豊臣秀吉が400年以上前に開いた「醍醐の花見」で知られる醍醐寺(京都市伏見区)の枝垂れ桜から培養したクローン桜が、秀吉の生誕地と伝わる中村公園(名古屋市中村区)と、公園内の秀吉をまつる豊国神社境内にそれぞれ植樹された。23日に薄いピンク色の数輪が開花した。
秀吉は慶長3(1598)年、醍醐寺で盛大な花見を開いたことで知られている。境内には桜の子孫にあたる樹齢150年を超す「太閤しだれ桜」があり、住友林業(東京)が2000年に冬芽(とうが)の組織からクローン培養に成功した。クローン桜はこれまで、秀吉ゆかりの大阪の豊国神社や熊本の加藤神社などに植樹されている。
3年前、名古屋の豊国神社の近藤一夫宮司(55)がクローン桜の存在を知り、若木を譲ってもらえるよう住友林業側と交渉。豊国神社と中村公園周辺のまちづくりを担う市民団体が複数の若木を購入できることになり、市民団体がその一部を公園を管理する名古屋市へ寄贈した。
若木は大きなもので高さ3・5メートルほど。樹齢は推定10年程度という。神社境内のほかに、神社北側の公園内にある「ほまれの広場」などに植えた。4月1日に中村公園である太閤花見茶会で植樹の記念式典を開く。
近藤宮司は「3年かけてようやく植樹が実現し、感慨深い。『醍醐の花見』に思いをはせながら、公園一帯が桜の名所になってくれればうれしい」と話す。(滝沢隆史)