謝罪する大阪大学の小林傳司副学長(中央)ら=大阪府吹田市の阪大
大阪大は、昨年4月入学の受験生を対象に同2月に実施した一般入試前期日程の理科(物理)で出題と採点に誤りがあり、本来合格とするべきだった受験生30人を不合格にしていたと6日、発表した。30人を新たに合格とし必要な補償をする。昨年6月以降、複数回にわたり外部からミスを指摘されたが対応が遅れた。
このほか、同じミスで、第1志望の学科に不合格となって第2志望の学科に合格した在学生が9人おり、希望者には第1志望の学科に移ることを認める。
小林傳司(ただし)副学長らが会見し同日、30人に合格通知書と謝罪文を送ったことを明らかにした。阪大に入学する意思がある場合、今年4月の入学を認め、他大学で学んでいる人には2年次に転入できるか調整する。入学意思に関わらず、合格していればかからなかった費用を補償する。予備校の費用や他大学の授業料などを想定。慰謝料についても「必要ではないか」と述べた。
この試験は工学部や理学部など6学部の一般入試と、帰国生徒や外国人留学生特別入試の必須もしくは選択科目の物理で、計3850人が受験。ミスがあったのは音波に関する2問(100点満点中計7点)で、1問は解答が複数存在するが一つのみ正答とし、その関連でもう1問は問題として成立しなくなった。
問題作成責任者の教授は、昨年6月に高校教員が集う会合で複数解答があるとの指摘を受けたが、副責任者の教授と検討し「阪大の解答が正しい」と説明。8月にも外部から同様の指摘があった。12月により詳細な指摘を別の人物から受けて初めて別の教員4人も加わって検討し、ミスを認め、同月末に全受験生の採点と合否判定をやり直したという。阪大は「見落としがあったと言わざるを得ない」としている。(沢木香織)