スシローグローバルホールディングスの居酒屋「杉玉」の店内=東京都新宿区
回転ずし最大手「あきんどスシロー」のスシローグローバルホールディングスが、すしを中心とした居酒屋「杉玉」の本格展開を始める。回転ずし市場の競争が激化するなか、利益率の高いアルコールを多く扱う居酒屋業態に参入することで、さらなる成長につなげる狙いだ。
「杉玉は居酒屋とすし屋のいいとこ取り。フランチャイズ化も検討しており、店舗数は3桁を目指す」
29日に開いた東京・神楽坂の新店舗内覧会で、水留浩一社長は力を込めた。杉玉はすでに兵庫県西宮市や東京都千代田区に出店しており、3店舗目。神楽坂の店は旗艦店と位置づけ、30日にオープンする。
約100平方メートルの店内にはカウンターやテーブルなど45席。すしや天ぷら、シューマイなどメニュー数は100弱で、1皿299円が基本。客単価は2500~3千円と見込む。「スシロー」との大きな違いは、豊富なドリンクメニュー。15種類ほどの日本酒や、焼酎、ワインなどをそろえる。今後は1千円以上の高価格帯メニューも出す。
同社は1皿100円を基本にした「スシロー」を郊外中心に約500店舗展開するほか、今月にはフードコート向けの小規模店「スシローコノミ」も始めた。
今回のような新業態への挑戦は2度目だ。2015年には東京都内に、女性をターゲットにした新業態の飲食店「ツマミグイ」3店舗を開業したが、「店が大きすぎて多店舗化が難しかった」(水留社長)ため、1年半で閉めた。「杉玉」はその半分ほどの面積で、老若男女問わず幅広い客層が対象だ。
調査会社の富士経済は、18年の回転ずしの市場規模を8年前の1・5倍に当たる6404億円と予測する。各社の出店競争が激しさを増す一方、魚や米、人件費は高騰し、低価格の維持が厳しい状態だ。ハンバーグやデザートなど、すし以外のメニューを増やして、集客や利益につなげようとする動きもある。(高橋末菜)