共産党の穀田恵二衆院議員が独自入手したという防衛省作成の文書と情報公開文書との間に食い違いがあると指摘した問題で、小野寺五典防衛相は2日、「(情報公開文書と)内容の一部が異なり、用途が異なると思われる文書が2件新たに確認された」と記者団に説明した。防衛省は本来、2件も情報公開請求に応じて公開すべき文書だったとして、不手際を認め、穀田氏に謝罪した。
穀田氏は先月30日の衆院外務委員会で、同省統合幕僚監部が2012年7月に作成した「日米の『動的防衛協力』について」と題した文書について、独自に入手したとする原本のコピーを示し、防衛省が17年7月と9月に2回に分けて情報公開した同名の文書との間に欠落など食い違いがあると指摘した。
穀田氏は、情報公開文書からは「検討会の実績」「今後の予定」が書かれたページが抜けていると指摘し、「文書改ざんではないか」と主張。これに対し、山本朋広副大臣は穀田氏入手の文書は「対外的に明らかにしたものではないので、真贋(しんがん)が分からない」と述べ、文書の存在について明確な答弁を避けていた。
防衛省によると、新たに確認されたという2件と情報公開文書は同じ題名で、日米防衛協力課の複数のファイルに入っていたという。小野寺氏は2日、「日米協議の準備のために作成した文書と日米協議の実施に関する大臣、局長に報告する文書で、実施時期や説明対象者への用途が異なる」と説明。そのうえで「中身が大きく変わっていることはない」として、改ざんとの指摘を否定した。一方、同省は記者団に対して「(情報公開)当時の探索が十分でなかったというのは反省している」と述べた。
ただし、穀田氏が独自入手したという文書と防衛省がこの日明らかにした2件のいずれも同じ文書であるとは認めなかった。穀田氏は「もともとあったページをなくすのは改ざんだ」と改めて指摘した。