「春用」の仁王立ちは腕組みスタイル
第90回記念選抜大会で準優勝した智弁和歌山。チームを率いた高嶋仁監督といえば、試合中、ベンチ前で仁王立ちして戦況を見守る姿が有名だ。この仁王立ち、実は「春用」と、「夏用」があった。
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4日にあった大阪桐蔭との決勝。高嶋監督はいつもの立ち位置で試合を見守った。腕を組み、鋭い目でグラウンドを見つめた。準々、準決勝のような大逆転劇はならなかったが、今春は強打の智弁和歌山の復活を高校野球ファンにアピールした。
監督としても、今春4勝し、甲子園の通算勝ち星を最多68勝にまで伸ばした高嶋監督。すっかり「名物」となった仁王立ちについて、自ら春と夏で違いがあることを明かしてくれた。
「(腕組みは)暑いんですよ。だから夏はこうなんです(腰に手をあてる)」
長丁場となる甲子園での戦いの厳しさを知る高嶋監督だからこその工夫だ。
「どこかの新聞記者は気付いてましたね。見るとこ見てるんですね。悪いことできんなって思いました」
そもそもベンチ前で仁王立ちをするようになったきっかけは、「勝ちへのこだわり」だ。
智弁和歌山の監督に就任してしばらくは甲子園で勝てなかった。そのときは、ベンチの隅に座っていた。だが、第75回(1993年)の選手権大会で2勝。当時、ベンチ前で仁王立ちするスタイルで初めて試合に臨んだという。
「負けてばっかりやから目立ってもええやと思って。そしたら勝ったんですよ。そしたら座れんようになったんです」
決勝後、「また夏に来て大阪桐蔭を倒すという目標ができた」と語った高嶋監督。約4カ月後の第100回選手権大会で「夏用」の仁王立ちを見ることができるのか。またひとつ楽しみが増えた。(辻隆徳)