集中審議での答弁で、不適切な発言について頭を下げる勝田智明東京労働局長。右端は加藤勝信厚労相=6日午前10時18分、岩下毅撮影
厚生労働省東京労働局の勝田(かつだ)智明局長が会見で野村不動産に「是正勧告を行っています」と発言したのに、厚労省が「是正勧告を公表していない」と矛盾した説明をしている問題で、勝田局長を参考人として招致した衆院厚生労働委員会の集中審議が6日午前、始まった。勝田局長は個別の事例について公表したものではないと釈明した。
勝田局長は「是正勧告」発言について「是正勧告を行ったこと自体は直接申し上げていない」とした上で、「誤解を与える表現になりましたことは、改めておわび申し上げたい」と述べた。立憲民主党の初鹿明博氏の質問に答えた。
勝田局長は昨年12月26日の定例記者会見で、野村不動産に「是正勧告を行っています」と発言したほか、今年3月30日の会見でも同社に是正勧告したことを認める発言をした。厚労省は4日、こうした発言が記された記者会見録を国会に提出。だが厚労省は「一般論」とし、是正勧告を公表したことを否定している。
野党は、厚労省側が公表を認めないのは、認めた場合に野村不動産への調査のきっかけとなった過労自殺についても説明を求められ、働き方改革関連法案の国会審議が滞ることを懸念しているためではないかとみて追及している。
衆院厚労委では、勝田局長が先月30日の会見で報道各社に「是正勧告してあげてもいいんだけど」と発言したことも取り上げられ、勝田局長は「私の発言、局長の権限をいたずらに行使するかのような発言であり、不適切なものであります」と、改めて謝罪した。
陸上自衛隊の日報問題などで与野党の国会対策委員長会談が紛糾した影響で、衆院厚労委は予定より1時間以上遅い午前10時過ぎに開会。同日午後にかけて野党議員が質問に立つ予定。