八回に登板し、無失点に抑えた巨人の上原=上田潤撮影
中日の松坂大輔が、12年ぶりに日本球界で先発登板を果たした5日夜。ナゴヤドームを沸かせたのは、松坂だけではなかった。巨人は1点リードの八回、上原浩治が4番手としてマウンドへ。このときは巨人ファンのみならず、一塁側からも拍手が送られた。
2人は共通点が多い。
ともに1998年秋のドラフトで、松坂は西武に、上原は巨人に、ドラフト1位で入団。1年目の99年、松坂は16勝で最多勝を獲得しただけでなく、新人王、ゴールデングラブ賞、ベストナインにも輝いた。
上原は1年目、最優秀防御率(2・09)、最多勝(20勝)、最多奪三振(179)とタイトルの数で松坂を上回る。新人王、ベストナインはもちろん、最も活躍した先発完投型の投手に贈られる「沢村賞」にも選ばれた。
松坂は「リベンジ」、上原は「雑草魂」が流行語大賞になったのも、99年だった。大リーグ時代にも共通点はあり、松坂は2007年、上原は2013年、ともにレッドソックス在籍時に、ワールドシリーズ制覇の称号を得ている。
上原は巨人復帰を決めたとき、松坂の存在が後押しになったようだ。以前「大輔が『ぼろぼろになるまで、やる』と言っていることに、心を動かされたところはある」と語ったことがある。この日の登板では味方の失策で走者を出したが、後続を断ち、1回を無失点。「必死に抑えた。チームが勝てば、それでいいです」。入団同期に負けじと、右腕を振った。(井上翔太)