学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設について、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の発言を記した愛媛県作成の文書が存在した問題で、立憲民主党など野党6党の国会対策委員長は10日、国会内で会談し、柳瀬氏らの証人喚問を求める方針で一致した。野党は「柳瀬氏や安倍晋三首相の虚偽答弁の疑いが濃厚になった」として追及を強めている。
野党6党は、国家戦略特区を担当していた柳瀬氏のほか、当時内閣府地方創生推進室次長だった藤原豊・現経済産業省貿易経済協力局審議官の証人喚問も求める。
問題の文書は、2015年4月、愛媛県や同県今治市の職員、加計学園幹部が柳瀬氏らと面会した際に愛媛県が作成したとされる文書。柳瀬氏はこの面会について、昨年7月の参院予算委員会で「私の記憶する限りはお会いしていない」と複数回、答弁している。
立憲の辻元清美国対委員長は柳瀬氏らの証人喚問を求める理由について、「加計問題について二人とも国会で虚偽の答弁をしたのではないか。総理の意思が強く働いたのではないか、事実を語っていただく必要がある」と強調。同日午後に自民党の森山裕国対委員長と会談し、証人喚問の要求を伝えた。
希望の党の泉健太国対委員長は「国会審議において役所から出てくる資料を信用できる環境にはない非常事態だ。深刻な局面だと認識を一致した」と語り、野党で連携して国会対応に当たる考えを示した。
加計学園による獣医学部新設について、柳瀬氏が「首相案件」と語ったと記録された文書の存在が明るみに出たことで、野党は「明らかに安倍首相が関与していたことを示すものだ。首相の進退に関わる重大な疑惑となってきている」(共産党の小池晃書記局長)、「加計ありきだった疑いがさらに濃厚になった」(社民党の又市征治党首)と批判を強めている。
10日午前には野党6党の合同ヒアリングを開き、文書の存否を内閣府や文部科学省などの担当者にただした。政府側が「愛媛県に確認を求めている」(内閣府)とくり返したため、事実確認のためにいったん中断し、午後5時から再開する。