東京都は、独自に制定を目指している受動喫煙防止条例案について、従業員を雇っている飲食店内を、面積にかかわらず原則禁煙とする方針を固めた。都内の8割以上の飲食店が対象になるといい、受動喫煙対策を強化する政府の健康増進法改正案に比べて規制対象が広くなる。今後、飲食店や市区町村の反発も予想され、規制内容は調整により変更される可能性がある。
都は、6月に開会予定の都議会に条例案を提出する考え。罰則を設ける方針だが、国の法案の行方をみながら施行時期や罰則を加えるタイミングを検討する。
受動喫煙対策の強化は、小池百合子都知事が提唱。昨年9月、面積が30平方メートル以下のスナックなどを除く飲食店を原則屋内禁煙とする条例案を公表していた。しかし、地元自治体などの反発が強く、国の法案との整合性をとる必要も出てきたため、都議会への提出を見送っていた。
都の新たな条例案では、店舗面積よりも、人の健康への影響を重視し、従業員を雇っている飲食店を原則禁煙にする。従業員がいない店や家族経営の場合は対象外だが、子どもが出入りする店は禁煙にする。従業員がいても、店舗内に煙を遮断するスペースを設置すれば喫煙も認め、設置費用は都が助成するという。
都議会では、小池知事が特別顧問を務める都民ファーストの会や、公明党などが受動喫煙対策の強化に賛同している。
政府が国会に提出している健康増進法改正案では、飲食店は原則屋内禁煙としつつ、客席面積100平方メートル以下で、個人経営か資本金5千万円以下の中小企業が経営する既存店では「喫煙」「分煙」などの表示をすれば喫煙を認める。飲食店全体の55%は喫煙可能になると推計され、昨年3月に厚生労働省が公表した30平方メートル以下のバーやスナック以外は原則屋内禁煙とする案から大幅に後退していた。
小池知事は今月6日、厚生労働省を訪ねて加藤勝信厚労相と面会するなど、法案との整合性などをめぐって調整を続けていた。