インターネットで自分の名前を検索すると虚偽の書き込みがあり名誉を傷つけられたとして、東京都内の男性が検索大手ヤフーに検索結果の削除を求めた仮処分の申し立てに対し、東京高裁(斉木敏文裁判長)が名誉毀損(めいよきそん)を認め、削除を命じる決定をしていたことが19日分かった。
決定は昨年10月30日付。ヤフー側は地裁に正式裁判を申し立てたため、男性が昨年12月に東京地裁に提訴。近く、第1回口頭弁論が開かれる見通しだ。
関係者によると、男性は自分の名前を検索すると、暴力行為を連想させる集団との関係が表示されるとして、ヤフーなどに記事やタイトルの削除を求めて仮処分を申し立て、東京地裁が2015年12月と16年8月に11件の検索結果の削除を命令。ヤフー側は東京高裁に抗告していた。
検索結果の削除を巡っては最高裁が昨年、「プライバシーを公開されない利益が、検索サイトの表現の自由と比べて明らかに優越する時に削除が認められる」とする初の基準を示した。高裁は最高裁の判断を踏まえ、名誉が傷つけられたケースについても、検索結果が虚偽であることや公共性、公益性が無いことが明らかなら削除すべきだと指摘。11件の削除を命じた。
男性の代理人弁護士の神田知宏弁護士は「検索結果の削除を求める訴えが幅広く認められる可能性もある」と話す。一方のヤフーは「決定が表現の自由の重要性に一定の配慮をしている点は評価するが、削除を認めた結論は承服できない。引き続き争っていく」とコメントした。(後藤遼太)