プレーオフ2ホール目、勝負を決めるバーディーパットを沈めて雄たけびをあげる谷口徹=日刊スポーツ
男子ゴルフの国内メジャー初戦、日本プロ選手権(千葉・房総CC房総 7324ヤード=パー72)は13日、最終ラウンドが行われ、2位から出た50歳の谷口徹が、通算6アンダーで並んだ藤本佳則をプレーオフの2ホール目で破った。本大会は3度目の優勝。ツアー優勝は2012年のブリヂストンオープン以来6年ぶりで、通算20勝目。また、尾崎将司が持つ49歳109日の国内メジャー大会の最年長優勝記録を22年ぶりに更新した。谷口はこの優勝で、5年シードを獲得した。7位から出た宮里優作は通算4アンダーの6位、石川遼は3オーバーの34位に終わった。
6年ぶり優勝に男泣き
「必死だった」。優勝したプロ27年目、谷口が男泣きした。
雨脚が強くなった終盤。前日に「疲労困憊(こんぱい)。脳も体も」とこぼした50歳は、「我慢すればチャンスは来る」と驚異的な粘りを見せる。17、18番で5メートルのパットを立て続けに決め、首位の藤本に並んだ。
18番パー5でのプレーオフ2ホール目。2打目をバンカーに入れ、3打目もピン手前5メートルと寄せ切れない。「(これを逃すと)次のチャンスはない」と腹をくくった。やや強めに打ったバーディーパット。カップの真ん中から沈め、藤本を振り切った。
これまで国内メジャー4勝を含むツアー19勝を挙げるも、2012年以来優勝から遠のいた。その心境を野球に例え、「2千本安打に王手がかかってからだいぶ経つ」と笑った。
若手が次々と出てくる中、飛距離は見劣りし、アイアンの精度も上がらなかった。体力強化に取り組んだがスイングのバランスが崩れて思うようにいかなかった。自分らしいプレーができなくなり、「やめた方が楽かなと思ったときもあった」と、言葉を詰まらせた。
「やめるのは簡単。でも何も変わらない。やり続けるしかない」。若手と食事したり、合宿したりすることで己を奮い立たせた。「次は(尾崎将司が持つ)ツアー最年長優勝記録の55歳を超えるようにコツコツ頑張りたい」と語った。そして若手に一言。
「貪欲(どんよく)に」(浅野有美)
《2位の藤本佳則》 「優勝争いの重圧はなかった。悪条件でもオーバーパーにならず、崩れなかったのは良かった」
《6位の宮里優作》 「攻め気味にいったが空回りだった。最後のバーディーパットがもったいなかった。(優勝の)谷口さんはスーパー50歳ですね」
《34位の石川遼》 「自分との戦いだった。癒やしのショットがなかった。ドライバーは徐々に改善しているし、パッティングも上達している」