事件が起きたビルの実況見分に入る捜査員ら=2018年5月14日午前10時8分、千葉市稲毛区小仲台2丁目、武田遼撮影
千葉市稲毛区の飲食店で13日夜、40代の夫婦と6歳と1歳の女児の計4人が一緒に食事をしていた男に刃物で切りつけられた事件で、千葉県警は14日未明、意識不明の重体だった6歳の女児が死亡したと発表した。殺人未遂容疑で逮捕された男は、被害に遭った女性の兄で40代の元千葉市議とみられ、入店直後に4人を襲ったという。
店で家族4人切りつけられ6歳死亡 容疑者は元市議か
県警によると、死亡した女児は背中周辺を刺されて傷は肺まで達し、死因は出血性ショックの可能性が高い。ほかの3人も頭部や足などに重軽傷を負ったが、命に別条はないという。
男は店の男性店長らに取り押さえられ、4人への殺人未遂容疑で現行犯逮捕(常人逮捕)されたが、県警は、6歳女児に対しては殺人容疑に切り替えて調べる。男は意味の分からないことを話しているといい、県警が身元を確認するとともに、犯行の経緯や動機を調べる。
県警によると、男は13日午後7時ごろ、同区小仲台2丁目の居酒屋で、包丁のような刃物で4人に切りつけ、殺害しようとした疑いがある。4人と一緒に来店して個室に入った10~20分後、突然怒って持っていた刃物を取り出し、隣に座っていた男性の太ももを刺した後、斜め向かいの6歳の女児を襲い、さらに向かいで1歳の女児を抱いていた女性の上半身を切りつけたという。
男性は県警に、「久しぶりに義兄が沖縄から出てきたので、ご飯でも行こうという話になった。5人で食事をしていた」と説明している。男は店内に刃物を持ち込んでいたという。
死亡した女児の祖父で、男の父親とみられる男性は14日朝、「お話をしたいのは山々ですが、話をする元気がありません。報道されている通りです」と話した。
店の向かいに住む男性(67)は救急車のサイレンで事件に気付いた。窓から外を見ると、血だらけの子どもが救急車に運び込まれるところで、その後、上半身が裸の男を数人の警察官が連れ出しているのが見えた。男は大声を出していたように聞こえたという。男性は約10日前に同店を利用したことがあるといい、「もしかしたら巻き込まれていたかも知れない」と声を震わせた。
現場はJR総武線稲毛駅前の繁華街のビル2階。