山田正雄さん
山田正雄さん(プロ野球日本ハムスカウト顧問)
どのスポーツでも史上最高に…大谷への評 内面こそ強さ
間近に接した大谷翔平は、素直だけれど実はとても頑固、謙虚だけれど大変な自信家、という意外な側面を持ったプレーヤーでした。そして常に、黙って一人でじっと考え、道を切りひらいていました。
北海道日本ハムのGMとして、入団交渉を重ねたとき、同席する本人は質問もしないんです。本当に聞いているのだろうか、と私は不安でした。ところが最後に急に「お世話になります」と言ってきました。キツネにつままれた気分でした。記者会見で、彼が説明できるのか心配しました。すると、球団と何を話し、どう考えて結論を出したかを理路整然と話しました。私の話をじっくり聞いていたことに初めて気づきました。
二刀流の方針を決めたのは栗山英樹監督ですが、普通は考えられない。でも本人は「大丈夫かな」とこぼしたこともない。会見で「二刀流をやらせるというから興味を持った」と言い切りました。
頑固であり、自信があるんでしょうね。たいていの選手は、好不調の波の中で、周りからいろいろ助言を受け、混乱するものです。しかし大谷にはそれがない。トレーナーから聞いた話ですが、大谷は自ら助言を求め、「うんうん」と素直に聞くけれど、そのまま実行するのは3割だそうです。残りの7割は今の自分に必要な方法にアレンジしているみたいだ、と。大谷は誰に何を聞いても、自分の頭で「良い」「悪い」を選別しているのです。自分を信じる頭が、普通とちょっと違う。
プロで打って抑えると、天狗(てんぐ)になるものです。でも彼は淡々としている。完封してマッサージを受けていた大谷に「ナイスピッチング」と声をかけました。すると返答は「はぁ」。掲げる目標が別次元なのだろうと感じました。
日本一になった後の2017年…