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ロシアの民芸品っぽい「マトリョミン」 その正体は?

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マトリョミンを演奏する人たち(竹内正実さん提供)


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「マトリョミン」という不思議な楽器がある。一見するとロシアのお土産で有名なあの民芸品。ところが手を近づけたり離したりすると、「ウィーン」と音が鳴る。どんな楽器なのか。


4月下旬、JR名古屋駅近くのビルの一室で開かれた音楽教室を訪ねた。生徒の手元に、それはあった。どう見てもロシアの民芸品「マトリョーシカ」だ。


教室内にピアノ伴奏が流れ始める。足を組み、ひざの上にマトリョミンを乗せる基本スタイルで構える生徒たち。自分の楽器の音をよく聴くため、耳には聴診器。マトリョミンに手を近づけたり遠ざけたりして調節し、メロディーを奏でていた。


生徒に話を聞くと、「こんなかわいいのに楽器だなんて衝撃だった」「使わないときもインテリアになる」と話した。一方、「かわいいけど、音があやしい」という声も。


どうして音が出るのか。音楽教室の先生でマトリョミンを作った浜松市の竹内正実さん(51)がタネを明かしてくれた。「マトリョーシカの中には『テルミン』とほぼ同じ仕組みの機械が入っているんです」。テルミンとは、ロシア生まれの電子楽器だ。


中を開けてみると金属板があった。この板から出ている電波を手で制御して音の高さが変わる仕組み。マトリョミンから約40センチの間で手を近づけたり離したりすることで、約6オクターブもの音階を奏でられるという。


竹内さんはロシアに“テルミン留学”した世界的な演奏家でもある。でも、愛するテルミンの人気はいまひとつ。「見た目はただの箱だしね……」。本場でも存在感は薄いらしい。


ならば、かわいらしい見た目のマトリョーシカにあやかろうと、その中にテルミンを入れることを思いついた。だから、その名は「マトリョミン」。完成したのは18年前のことだ。


ほんの冗談のつもりで作ったのに、じわじわと評判が広がり、愛知県豊橋市などで開いていた教室に問い合わせが相次ぐようになった。教えた生徒たちは800人を超えるという。1個4万円(税別)で、これまで約6千個を売った。


竹内さんによると、2019年はテルミン誕生から100年の節目とされる。300人以上がマトリョミンを同時演奏するイベントを企画中だ。


マトリョミンについての問い合わせは、竹内さんのウェブサイト(


https://www.mandarinelectron.com/


別ウインドウで開きます


)へ。(山本知佳)



〈テルミン〉 1919年(20年との説も)、ロシアの物理学者レフ・テルミン博士が発明した世界初の電子楽器。箱形の本体から出た二つのアンテナに手を近づけたり遠ざけたりして、音程と音量を調節し演奏する。ロックギタリストのジミー・ペイジがレッド・ツェッペリン時代に使ったことでも知られる。



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