中京大中京時代の嶋基宏
今夏で100回を迎える全国高校野球選手権大会のアンケート企画「みんなで選ぶ東海ベストナイン」には、232人から応募がありました。愛知、岐阜、三重県の歴代の選手権地方大会に出場した高校球児の中から選ばれた選手を、寄せられた選出理由と共に紹介します。(敬称略)
過去最多700試合をライブ中継 バーチャル高校野球で全試合中継の大会も
夏の甲子園、歴代最高の試合は? 投票ベストゲーム
投手部門
投手部門は、ソフトバンク監督の工藤公康(60票)。名古屋電気(現愛工大名電)時代に、夏の第63回大会で甲子園4強入りし、初戦の長崎西戦では16奪三振、ノーヒットノーランを達成した。回答者からは「今まで見たことがないカーブだった」(愛知・40代男性)、「ノーヒットノーランは忘れられない」(岐阜・50代男性)という声があがった。
捕手部門
捕手で選ばれたのは、楽天の嶋基宏(44票)。2002年の選抜大会に出場し、当時は二塁手だった。11年、楽天の選手会長として、東日本大震災の慈善試合で「見せましょう、野球の底力を」とあいさつしたことが注目され、「震災後のスピーチがすごく印象に残っている」との声も寄せられた。
内野手部門
内野手は、一塁手が現日本代表監督の稲葉篤紀(80票)、二塁手は「ミスタードラゴンズ」とも呼ばれた元中日監督の高木守道(136票)、三塁手はソフトバンクの松田宣浩(76票)、遊撃手は中日の堂上直倫(96票)だった。理由は「現役引退後もプロを目指す子供たちへの貢献度、レジェンド度で選んだ」(愛知・40代男性)や「尾張のプリンスと言われた堂上選手の活躍が高校野球にハマったきっかけだった」(愛知・10代女性)など幅広い世代が回答した。
外野手部門
外野手部門は、大リーグ・マリナーズのイチロー(185票)が全部門を通じて最も多くの票を集めた。次いで、元阪神の赤星憲広(86票)、元中日の和田一浩(72票)が選ばれた。「弟がオリックス時代のイチローファン」(愛知・50代女性)や「大学・社会人・プロになってからの実績も踏まえて選んだ」(三重・60代男性)という意見があった。
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アンケートは、朝日新聞とメ~テレによる共同企画。5月7日~6月25日に専用ウェブサイトで募り、232人(1人1票)から回答があった。(古庄暢、江向彩也夏、竹井周平)
投手部門1位・工藤公康さん「力合わせ悔いない試合を」
「あのカーブはすごかった」と今でも言われます。多くの人の思い出に残るのはありがたいです。
実は兄が中京(現・中京大中京)に行っていました。でも、誘いがなくて。僕の中ではそんなに有名ではなかった名古屋電気(現・愛工大名電)から「来ないか」とお話をいただいて、寮生活の思い出や一生涯の友達もでき、甲子園にも行けました。
愛知大会5回戦、東邦との試合で右目に死球が当たっても投げ続けました。監督は「俺が責任をとるから投げろ」。特例でハンカチを持ち、下まぶたをひっぱって目を開けてサインを見ていました。
心に残っているのは全国選手権初戦、長崎西戦でのノーヒットノーラン。最後、三振に打ち取った時、サインは決まっていましたが、何回も何回も首を振って。相手を惑わし、自分は落ち着くという狙いでした。
悔いのない試合は多くの人の感動を呼びます。みんなで力を合わせ、頑張ってほしいです。
外野手部門2位・赤星憲広さん「『強敵倒す』思いが支えに」
憧れのイチローさんに次いで2位。すごくうれしいです(笑)。
高校時代は内野をやっていましたが、プロではセンターしか守っていないので、イメージがないのも無理はないですね。でも、高校で内野手をやっていた時に磨いた「捕ってから素早く投げる」ことは、外野手になってからも僕の長所でした。内野と外野の両方で選ばれたような気分です。
「私学を倒して甲子園に行く」という思いを持って大府に入ったら、1学年上の先輩たちも同じ思いを持っていた。特に度肝抜かれたのは練習のリレー。僕はアンカーで1位でバトンを受けたのに、先輩3人に抜かれて4位。足には自信がありましたが、それくらい先輩たちはすごかった。
2、3年春の選抜には出ましたが、夏の甲子園は行けなかった。でも、「強いチームを倒したい」という高校時代の思いは大学、社会人、プロでも変わらず支えになりました。球児の皆さんは、これまでの努力を出し切ってほしい。