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やはり角刈りに…演歌界の重圧 氷川きよしを救った言葉

写真・図版


氷川きよしさん


声、あくまで朗々と伸びやかに。人、恥じらいを帯びながら真っすぐに。歌の道をひた走る正統派だ。


氷川きよしさん


1977年、福岡県出身。2000年に「箱根八里の半次郎」でデビュー。01年の2枚目「大井追っかけ音次郎」以降、「氷川きよし」名義のシングル曲はオリコンチャートで全てトップ10入りしている。



歌うのが好きな少年だった。何よりも、自分の歌を聴いてくれる人たちの笑顔を見るのが好きだった。


高校時代に芸能クラブに入部。ロック調の曲を歌う気満々でいたが、指導の講師は「演歌を歌ってくれないか」。運命の出会いだった。「演歌は新鮮でした。周囲の方々の喜ぶ顔もうれしくて、存在意義を感じました」。道は定まったが、問題があった。演歌界は、何かとしきたりが多そうだ。「デビューできるとしても、やっぱり角刈りにしなきゃいけないのかな。通用するのかな」。悩みは日増しに膨らんだ。


「自分らしくやったらいいんだよ」。所属事務所「長良プロダクション」会長だった故長良じゅんさんのこの言葉が、暗雲を吹き飛ばし、青空をのぞかせた。何の変哲もない言葉だが、それだけ演歌界の「らしさ」の重しはのしかかっていた。




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