写真集「沖縄1935」
戦前の1935年に沖縄で、大阪朝日新聞(当時)のカメラマンが撮った写真を収録した写真集「沖縄1935」(朝日新聞出版)が31日、発売される。朝日新聞と沖縄タイムスの共同企画として、両紙の紙面やデジタル版に掲載した直後から、写真集の出版を求める声が多く寄せられていた。
特集:沖縄1935 写真でよみがえる戦前
特集:沖縄はいま
写真は、大阪朝日新聞の藤本護氏が撮影。そのネガが朝日新聞大阪本社で見つかり、277コマをデジタル化した。詳しい写真説明は残っていなかったが、朝日新聞が、記事の相互提供や人事交流をしている地元の沖縄タイムスに写真を提供。沖縄タイムスの取材で撮影場所が特定でき、当時の詳しい様子がわかった。
糸満の漁師や、布をかぶって墓参りに行く女性たち、那覇の活気ある市場や、洞窟内でパナマ帽を作る様子など、沖縄戦ですべてが失われる前の、生き生きとした、ありのままの沖縄を写しだしている。戦前の写真の多くは沖縄戦で焼失しており、貴重な写真群だ。
紙面掲載後、「写真集を出してほしい」「写真展を開いてほしい」という声が相次いで寄せられた。朝日新聞デジタルでは、過去最多の1500万ページビューを4日足らずで記録した。
写真集には、写真約100点を収録。沖縄タイムスが取材した現地の古老らの証言や、1935年の大阪朝日新聞の連載の一部も掲載している。A4判変型の128ページで、税込み1944円。主な書店で買うことができ、朝日新聞販売所(ASA)でも注文できる。問い合わせは朝日新聞出版(03・5540・7793)へ。