アイドルグループ「でんぱ組.inc」の古川未鈴さん=坂本進撮影
起こせジャイキリ サッカー日本代表
◆アイドルグループ「でんぱ組.inc」・古川未鈴さん
ワールドカップ(W杯)本番前に突然の監督交代となったサッカー日本代表。開幕前の親善試合も苦戦続き。この逆風をどう乗り切ればいいのか。「マイナスからのスタートなめんな!」のキャッチフレーズで知られ、相次ぐオーディション落選などにも負けずに2度の日本武道館公演を成し遂げるまでに飛躍したアイドルグループ「でんぱ組.inc」の古川未鈴さんに聞きました。
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ふるかわ・みりん 年齢非公表。全員が何らかの「オタク」である7人組ユニット「でんぱ組.inc」でセンターを務める。でんぱ組.incは自らのコンプレックスやつらい体験を歌った「W.W.D」を含むシングルが2013年、オリコン週間CDランキングで10位に。14年、17年には日本武道館公演を成功させた。
《「いじめられ 部屋にひきこもっていた ゲーセンだけが 私の居場所だった」。でんぱ組.incのブレークにつながった楽曲「W.W.D」の一節は、古川さんの実体験に基づくものだ》
転勤族だったこともあって、学校では目立ったらしいんです。靴を隠されるとか、水着を盗まれるとか、いろいろありましたね。
私はネットゲームが好きで、そっちに居場所をつくっていたので、その当時は本気で「私は一生、ネットゲームに住み続けていい。このまま80歳ぐらいのおばあちゃんになるんだろうな」と思っていました。
私、いじめられているときに「むかつく」とか「やめて」などと思うのに、その言葉が言えなかった。逆に「あはは」といつも笑っちゃう。でも、いじめる人たちをどうやったら見返せるんだろうと思っていました。次第に、大好きだった「モーニング娘。」やSPEEDみたいに、テレビに出て、キラキラして有名になったら「あいつすげえ」って、ぎゃふんと言わせられるなと思い始めた。それで、オーディションなどを受け始めました。
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でも「モーニング娘。」やAKB48のオーディションはダメでした。書類落ちです。それで「オーディションに受からないんだったら自分で何とかしてやる」と、ライブをやっていました。少しでも有名になりたいと思って、メイド喫茶などを渡り歩いて、そこで最終的に出会ったのが、ライブステージとバーを併設したスペース「秋葉原ディアステージ」でした。
《2013年、「W.W.D」がオリコン週間CDランキングで10位に入り、一気にブレーク。この曲の後、寄せられるファンレターの文面に変化を感じたという》
「私も、ありました、こういうこと」「すごく元気をもらっています」といったことをたくさん言っていただきました。「W.W.D」って、形は違えど、みんなが感じてきた思いが詰まった曲なんだと実感しました。「悔しい」や「むかつく」という気持ちが人を強くするんだな、とも感じました。
《サッカーは「オフサイドは知っています」程度。それほど詳しくはないが、今の日本代表と重なる部分もある》
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14年の日本武道館公演の2年前、「武道館に立ちたい」と公言しているんですよ。当時のプロデューサー(「アキバ」発ポップカルチャーの仕掛け人の一人として知られる福嶋麻衣子さん)から、「やりたいことは口に出す。言霊になるから」とよく言われていました。「目標とかやりたいことって、言えば本当にかなうんだな、やりたいことを口に出すのは大事だな」と思いました。
《だから、本田圭佑選手(パチューカ)が「W杯優勝」を目標に挙げることにも共感する》
言うのって勇気が要る。もしかなわなかったら「ダサい」って思われちゃう。でも、そういうのを先陣切って言ってくれる人がいると、後ろの人もついてきてくれると思う。だから本田さんは勇気があると思います。多分、自分で言うことで、自身を鼓舞しているところがあるんだろうな。
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《今の日本代表には批判も多い。だが何かを評価するならば、しかるべき「舞台」を見てからにすべきだと考える。でんぱ組.incもメンバーの変動があった際、賛否両論あったことが背景にある》
選手の皆さんは、言いたいことがあるだろうと思います。不安、悔しい、むかつくといった思いかあるかも知れないけど、試合の結果には関係ない。ぜひ全力でやっていただきたいと思います。私たちも、「ステージに上がってしまえば関係ない」という気持ちがありました。
《日本代表の選手たちには、同じように人前に出る仕事という意味で、リスペクトも感じている》
私、CDが出た時に、順位がめちゃくちゃ低かったらどうしようって思うんですよ。応援していただいたファンの皆さんにどうやって顔向けしたら良いんだろうって。選手の皆さんは、勝ち負けが明確に出るし、そういう不安ってよりすごいと思うんです。その重圧って、どうやったら跳ね返せるんだろうって、聞きたいです。
日本代表の選手の皆さんは、メンタル的な部分が本当に強い方々だと思う。そういうところは私たちも見習いたいと思います。と言いつつも、個人的には、あまり気負わないでやっていただきたいと思いますね。(聞き手・永田篤史)
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〈ふるかわ・みりん〉 年齢非公表、香川県出身。全員が何らかの「オタク」である7人組ユニット「でんぱ組.inc」でセンターを務める。キャッチフレーズは「歌って踊れるゲーマーアイドル」。新体操やクラシックバレエの経験を生かし、ダンスリーダーでもある。でんぱ組.incは、メンバーが自らのコンプレックスやつらい体験を赤裸々に歌った「W.W.D」を含むシングルが2013年、オリコン週間CDランキングで10位に入り、一気にブレーク。14年、17年には日本武道館公演を成功させた。