前半、先制のPKを決め、喜ぶ香川真司=2018年6月19日、ロシア・サランスク、長島一浩撮影
(19日、日本2―1コロンビア サッカー・ワールドカップ)
このPKは、誰にも渡さない。球をかかえて放さない香川は、覚悟を固めていた。「自分で取ったPKなので、自分で蹴ろうと。練習もしていた」
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これまでの日本のPKは主に本田が蹴ってきた。「自分のデータを相手は持っていないだろう、と思った」と香川。フェイントをかけて相手GKを先に動かし、空いたスペースに冷静に蹴り込んだ。
この先取点が、何よりも大きかった。原口は「これで試合を優位に進められると思った」。緊張感から解放された選手たちは、球際で激しく球を奪ったり、体を張って守ったり。最後までコロンビアを運動量で圧倒した。
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香川はこの4年間、惨敗したブラジル大会の“呪縛”と戦い続けてきた。車を運転していても、風呂に入っていても、考えてしまう。「なんで、勝てなかったのか」
当時、本田や長友らとともに欧州のトップクラブに所属。3人が主力を張った日本代表への周囲の期待は高かった。「絶対に歴史を刻むんだという強い意気込みでいた」。結果は、1勝も出来ずに1次リーグ敗退。香川は無得点に終わり、先発落ちも味わった。
未勝利に終わった責任を、10番を背負った自分の不出来と負い続けた。ブラジル大会の3試合の映像は今でも見ることが出来ない。「自分の力不足はわかっている。それを受け入れているから、あの試合を見てこれ以上、得るものはない」
代表から外れ、左足首を故障したこともあった。生活習慣を見直し、肉体改造にも取り組んでたどり着いた2度目の大舞台。この4年が間違っていなかったことを、ゴールで証明した。(清水寿之)