米中の報復合戦はエスカレートしている
米国と中国の貿易摩擦が激しさを増してきた。米国の高関税措置に中国が報復を表明したことに対し、トランプ大統領が18日、2千億ドル(約22兆円)分の製品に10%の関税を上乗せする案を新たに検討するよう指示。中国も「強力な報復を行わざるをえない」(商務省)と正面衝突を辞さない構えで、2大経済大国が「貿易戦争」に突入しかねない状況に陥っている。
トランプ氏は声明で「中国は自らの行動を改めず、何も悪くない米企業や労働者、農家を脅迫している」と主張。中国側が報復措置を発動した場合に備え、10%の関税率を上乗せする対象品目の特定を米通商代表部に指示した。「中国が慣行を改めるのを拒み、新たな(報復)関税にこだわるなら、法的手続きを終えた後で発動する」という。
米政権は15日、知的財産の侵害など不公正な通商慣行を理由に、計約500億ドル(約5・5兆円)分の輸入品に25%の関税を上乗せする措置を発表。うち340億ドル分は7月6日に発動すると発表した。中国は直ちに対象の規模や実施時期について米側の措置を完全になぞった関税措置で報復を表明した。
トランプ氏が指示した「2千億ドル」は米国が2017年に中国から輸入した額の4割に上る。中国がこれに対抗する関税をかけた場合、さらに2千億ドルを関税の対象として上乗せするとも警告した。
両国は第1弾の関税をかける7月6日まで交渉を続けるとみられる。関税の応酬が始まれば世界経済に混乱が及ぶのは必至だが、19日午前に電話会見したナバロ大統領補佐官は「中国の攻撃から米国の至宝といえる技術を守るための防衛的な措置。誰も驚くべきではない」と訴えた。
好調な米経済は中間選挙を控え…