2020年東京五輪まであと2年。実力は世界のトップクラスなのに、「五輪」を口にしない選手がいる。バドミントン男子の、桃田賢斗(ももたけんと、23)だ。犯した過ちの重さと、向き合っている。
2017年2月26日。出場停止期間中だった桃田は福島県郡山市の体育館にいた。所属先のNTT東日本が開いたバドミントン教室。集まった子どもたちを前に、選手たちが並んだ。
「コートの中でも、外でも、福島の子どもたちから憧れられる存在でいてほしい」
福島県バドミントン協会の橋本遊二理事長(68)は、こうあいさつした。そのときうなずいた桃田の表情が、忘れられない。「じっと、こちらを見て、目が赤くなっていた。すみません、すみませんと」
■第2の故郷…