東京五輪を翌年に控え、五輪の出場権をかけた国際大会が各競技で開かれる。自国五輪の切符は何が何でも欲しいが、選手選考は公正に――。二つの思いに挟まれ、競技団体は頭を悩ませている。
体操・村上茉愛が世界選手権代表外れる 特例で救済せず
日本体操協会は8日の理事会で、世界選手権の代表入りを逃した女子の村上茉愛(まい)(日体ク)の救済案を、出席理事15人中8人の反対で否決した。
村上は代表選考会だった5月のNHK杯をけがで棄権した。しかし、女子団体が東京五輪へ出るには、世界選手権で上位9カ国(昨年の上位3カ国は除く)に入る必要があり、昨年の世界選手権で個人総合2位の村上に待望論が出ていた。
理事会は紛糾し、約1時間半に及んだ。田中光・女子強化本部長は、6月下旬にある種目別選手権の結果次第で救済できるようルール変更を提案。しかし、「選考は透明でなくてはならない。後付けはだめ」と声が上がり、特例措置は見送られた。
有力選手が代表選考会をけがで欠場しながら選ばれた例では、2018年平昌五輪フィギュアスケート男子の羽生結弦(ANA)がある。前年の全日本選手権を欠場したが、日本スケート連盟は「世界選手権3位以内の実績がある選手が、けがなどで全日本に参加できなかった場合、選考することがある」との選考基準を事前につくっていた。羽生はこの基準をもとに五輪代表になり、この種目で66年ぶりの連覇を果たした。
競技団体による選手選考はかつ…