細野豪志・元環境相(無所属)に昨年10月の衆院選期間中に5千万円を提供していた証券会社「JC証券」(東京都港区)について、金融庁は24日、法令を守ったり経営を管理したりする態勢が機能していないとして、証券会社としての登録を取り消したと発表した。関係者によると、細野氏への資金提供をめぐるずさんな経緯も金融庁から問題視された。
金融庁によると、JC証券は昨年10月、会社法で必要とされる取締役会を開かずに増資し、親会社から増資資金を得た。その資金の一部を個人に提供する際、借用書を作らず、資金使途や返済条件も検討せずに、しばらく利息も催促しなかった。一部の取締役が独断で資金提供を決めたことなども、金融庁は「不適切な行為」と認定した。
金融庁が問題視した資金提供が細野氏への5千万円とみられる。JC証券の内部文書などによると、同社は資金提供の2カ月後に借用書を作成。利息は3カ月以上受け取っておらず、今年2月になって請求を始めた。
また、JC証券は取締役会を開いて貸し付けを決めたとするウソの議事録を作成。作成日を2カ月早めた借用書とともに金融庁に提出するなど、虚偽の報告を行っていたという。
細野氏は、関東財務局が同氏への資金提供についてJC証券に報告を求めた後の今年4月、すでに提出していた資産報告書を訂正し、「借入金」として5千万円を届け出た。その5日後に返済したとされる。
JC証券は同日、「多大なる心配、迷惑をかけたことを心よりおわびする」とのコメントを公表した。登録取り消しは、行政処分で最も重い処分にあたる。(藤田知也)