第100回全国高校野球選手権記念大会の地方大会で、28日の岡山大会準決勝を戦った倉敷商は、西日本豪雨で大きな被害を受けた岡山県倉敷市にある。チームは「被災地に元気を届けたい」と大会を勝ち上がってきた。
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同校野球部によると、けがをした部員はいなかったが、倉敷市真備町に自宅がある選手2人を含む計5人の部員が床上浸水の被害を受けた。被害が明らかになり始めた今月7日と8日は週末で、部員への被害状況の聞き取りが難航。9日に部員が練習に参加して初めて、5人の被災が確認できたという。
野球部の野間貴之・前部長(47)は「ニュースで見ることでしか状況が分からなかった。ここまで生徒が被害を受けているとは思わなかった」と振り返る。森光淳郎(もりみつじゅんろう)監督(47)は「家が水につかった生徒もいるので、ご家族やその子のためにも勝って良い報告ができればと思う」としつつ、「でもやっぱりそういうことは勝ってからしっかり言いたいですね」と話していた。
岡山大会で注目される右腕でチームを引っ張ってきた引地秀一郎(ひきじしゅういちろう)君(3年)は倉敷市内で下宿しているが、豪雨当時は下宿先の周りが水浸しになり、湖のような光景が広がっていたという。制服や野球道具が水につかった部員もいた。
創志学園(岡山市北区)との準決勝は息詰まる投手戦となり、引地君も8回2失点と好投したが、0―2で敗れた。
試合後、引地君は「自分たちが甲子園に出て、被災地・倉敷の代表として、被災したみなさんに元気を届けたかった。創志学園には甲子園に行ってもらい、岡山に元気を届けて欲しい」と思いを託した。(沢田紫門)