100年を数えた夏の高校野球の歴史は、新たな100年へと踏み出した。第101回全国高校野球選手権岡山大会が13日、マスカットスタジアムで開幕し、1回戦3試合が行われた。注目のカードとなった開幕戦は、岡山学芸館が逆転サヨナラでおかやま山陽を破った。昨夏の代表校、創志学園は七回コールドで岡山南を下し、連覇へ好発進した。日程が順調に進めば、決勝は28日にある。
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快投…あと1死で おかやま山陽・内藤惟真投手(3年)
2017年夏の代表校・おかやま山陽と、15年夏の代表校・岡山学芸館が相まみえた開幕試合。快投で勝利をつかみかけたおかやま山陽の左腕に、まさかの展開が待っていた。
おかやま山陽の先発は背番号「3」の内藤惟真(ゆいま)君(3年)。持ち前の打たせてとる投球がさえ、岡山学芸館打線を八回まで1失点に抑えた。1点リードの九回、連打を浴びて2死一、二塁のピンチ。打席には、七回に適時打を浴びた岡山学芸館の背番号「1」中川響君(3年)が入った。
「ここは速い球で押す」。内藤君は捕手のサインに首を振った。しかし、その球は高めに浮き、鋭い打球が左中間へ。中堅手が捕球姿勢に入ったのが見えた。「助かった」といったん思った後のことは、よく覚えていない。
中堅手が左翼手と交錯。2人とも転倒し、ボールがポトリと落ちた。岡山学芸館のベンチやスタンドから、地鳴りのような歓喜の声が聞こえた。2人の走者が一気に生還し、逆転サヨナラ負け。
1年生の秋以来という公式戦での先発登板は、試合前日に堤尚彦監督から言い渡された。「後ろにいい投手がいるから」と不安はなかった。試合後、堤監督は「的を絞らせない投球をしてくれた」とたたえた。
「思い切り投げられたので悔いは無い。楽しかったです」。内藤君は胸を張った。「これまで何度も守りで助けてもらっていたから」と、2年生の中堅手への感謝も忘れなかった。(華野優気、榧場勇太)