(26日、高校野球高知大会 高知商10―2明徳義塾)
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「こんなに打たれたのは初めて」。明徳義塾の市川悠太君(3年)は被安打14で10点を失った。準決勝までの3試合は計23回を投げ、自責点1。絶対的エースは言葉少なにうなだれた。
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二回につかまった。先頭打者を三振で抑えたが、次打者から連打を浴び、1死二、三塁。次の藤田昂志郎君(同)に一、二塁間を破られ、先制された。
捕手の安田陸君(2年)は「調子はいつも通り」と感じていた。だが、藤田君の安打で高知商を勢いづかせたと振り返る。「一球で流れが変わる」と思い知らされた。
その後も外角に逃げる変化球でかわしていたが、真ん中や高めに浮いた甘い球を捉えられ、得点機で適時打を決められた。
市川君は昨年、馬淵史郎監督の助言で腕の振りをオーバースローからスリークオーター気味に変えたことで制球力が増し、球速は150キロ近くまで上がった。
昨夏の甲子園で2試合に登板し経験を積んだ。秋の明治神宮大会では全3試合で完投して優勝。今年6月にU18アジア選手権大会の日本代表候補にも選ばれ、全国クラスの投手として知られるようになった。各校からは名指しで狙われた。
市川君は高知商を「引っ張る打撃」と分析して内角や外角に厳しいコースを狙った。しかし、今大会準決勝まで20得点の高知商の強力打線は甘い変化球を見逃さなかった。
今大会は点差が開いた試合もあったが、市川君は全試合で完投した。「疲れたなんて言い訳はできない」とエースのプライドをもち、この日も127球を1人で投げ抜いて8三振を奪い、意地を見せた。
高校野球は終わるが、今後はプロ野球が視野に入る。市川君は「次のステージで頑張る」と前を向いた。(加藤秀彬)