井山裕太七冠(29)が、ついにタイトルを明け渡した。トーナメントを勝ち抜き、挑戦手合に初登場した20歳の若き挑戦者に3連敗。「1強」だった王者の一角が崩された。
井山七冠のタイトル独占崩れる 碁聖戦でストレート負け
大阪・梅田の日本棋院関西総本部であった対局は午後7時35分に終局。押しかけた報道陣のカメラは勝者にではなく、一斉に敗者に向けられた。
「正直、井山さんからタイトルを取れるとは思わなかった」。挑戦者の許家元(きょかげん)七段(20)がインタビューに答える間、井山はじっと碁盤を見つめていた。七冠独占が崩れたことを聞かれると、「七冠が普通の状態ではないと思っていたので、強く意識していない。それよりシリーズが3局で終わったのが残念」と、淡々と話した。
結果も内容も、若き挑戦者に圧倒された。防衛すれば碁聖戦新記録の7連覇。七大タイトル獲得数も42に伸び、趙治勲名誉名人(62)に並ぶ最多タイとなるはずだった。
ここ数年、日本囲碁界は井山の…