甲子園に6日、登場した北照(南北海道)のエース原田桂吾君(3年)は変則の左横手投げだ。ひょうひょうとした性格でチームメートや監督は「面白い男だ」と口をそろえる。その特技も意表を突くものだ。
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試合や練習の合間のリラックスタイム。原田君は硬球を「ルービックキューブ(6面立体パズル)」に持ち替える。多彩な変化球を生む指の器用さをいかし、縦横無尽にカシャカシャとキューブをはじく。瞬く間に6面、完成させる。
原田君は2000年生まれ。1980年代に流行したルービックキューブにのめり込んだのは、高校入学直後だ。自宅にあった父のものをなんとなく手にとった。もともと「ひとつのことに集中するのが好き」。すぐにその魅力にとりつかれた。最初は苦戦したが、2~3週間練習すると、1分30秒ほどで完成させられるようになった。
1年生の夏、学校の球技大会で約20人が争う6面立体パズルの勝ち抜き戦に挑んだ。3年生のスキー部の男子生徒に僅差(きんさ)で敗れ、負けず嫌いに火がついた。さらに練習を重ね、挑んだ秋の球技大会。完成タイムを30秒に縮めて見事、優勝した。以降、校内3連覇中だ。
もちろん本業はマウンドを守ること。多彩な変化球を操って内外角を攻め、打者を踏み込ませないピッチングにいかしている。(今泉奏)