高校野球の南北北海道大会、28日は7地区で計20試合が行われた。札幌地区では選抜出場校の札幌大谷と札幌第一がコールド発進。小樽地区でも昨夏の南北海道代表校、北照がコールドで初戦を突破し、実力校が力を発揮した。北見地区では網走南ケ丘が、春季大会で敗れた遠軽に雪辱した。29日は室蘭、旭川、十勝、釧根、空知の計5地区で代表決定戦がある。
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結成3カ月 連合チームの柱 倶知安農・蘭越・小樽明峰 小川颯太主将
昨夏の甲子園に出場した北照に、倶知安農・蘭越・小樽明峰の3校連合チームが挑んだ。結成3カ月という連合チームをまとめてきたのが、5年ぶりの大会出場となる小樽明峰の小川颯太主将(3年)だった。
同校は2014年の大会を最後に、部員不足で活動していなかった。小川主将は中学時代から野球部。同校に入学後も野球を続けたいと思い、野球の指導経験のある由利矩章教諭に「野球部を復活させたい」と申し出た。由利教諭と2人で、グラウンドの草むしりから始めた。
だが、翌年の新入部員はゼロ。試合に出られず「やめようか」とも思ったが、今春に1年生4人が入部して道高野連に再加盟。4月には3校で連合チームを組み、5年ぶりに夏の大会への道が開けた。
試合は北照の一方的なペースでコールド負け。だが捕手を務めた小川主将は、ワンバウンドの投球を何度も胸で受け止める好守をみせた。ピンチでマウンドに駆け寄ると、「コールドになっても最後まで野球を楽しもう」と声をかけた。
五回表、連合チームは3安打を放ち、2死満塁のチャンスを作って意地を見せた。試合後、小川主将は「野球を続けてきてよかった。野球ができる楽しさと、続けることの大切さを学んだ」と涙をぬぐった。(佐久間泰雄)
春の地区代表、遠軽が姿消す
北見地区では春の地区代表校の遠軽が、網走南ケ丘にコールド負けした。
8点を奪われた後の2回途中から浅野駿吾主将(3年)が3番手で登板。被安打3で無失点と健闘したが、打線の援護を呼び込めなかった。浅野主将は「ピッチングから打線の流れを作ろうとしたが、できなかった。後輩には試合の流れの怖さを忘れないでほしい。甲子園は後輩に託します」とエールを送った。(石間敦)
夕張に元気な声響け
五回裏、月形・砂川・夕張連合チームの捕手、宮岸由海主将(3年、夕張)の前で、深川西の走者が10点目のホームを踏んだ。
宮岸主将は投手として先発したが、守備のミスからリズムを崩して二回で降板。バッテリーが入れ替わり、捕手として南部遥希投手(2年、砂川)をリードし、三、四回を0点に抑えたが、流れを止められなかった。
地元の夕張ではなく、岩見沢市の高校への進学を勧められたが、「夕張が大変なとき。部員が少なくても野球をやって声を響かせよう」と地元に残った。冬は除雪の手伝いで高齢者の家庭を回った。お年寄りたちから「元気な声が聞けてうれしいよ」と声をかけられ、期待に応えようと頑張ってきた。
「連合チームが集まれるのは週末だけだけど、助け合って試合をする団結力がついた。やりきったと思う」。試合後にほっとした表情を見せた。(岡田和彦)