西日本を襲った豪雨で被災した、障害のある子どもたちを預かる放課後等デイサービス「ホハル」(岡山県倉敷市真備〈まび〉町)が、11日に営業を再開する。再建費用はインターネットで寄付を募るクラウドファンディング(CF)で集めた。「少しでも現場の雰囲気を共有できれば」と、寄付者には水没して泥で汚れたおもちゃをお礼として送る。
施設は今年4月に開業。倉敷市真備町や、隣の矢掛(やかげ)町に住む小学1年生~高校生3年生10人が通っていた。発達障害や自閉症の子どもたちが、木材を使った秘密基地作りから、設計図通りにものを作ることを学んだり、リズムをとりながら音読することで文字を学んだりしていた。
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しかし今回の豪雨で天井の上まで水没。代表で児童指導員の滝沢達史さん(45)は「言葉がでなかった」と振り返る。ある程度水が引いた7月8日夕、施設に入ると、机やロッカー、教材はすべて泥水に浮いた状態で散乱していた。
子どもたちの半数が被災。環境の変化に敏感な子が多く、避難先でストレスを抱える子もいた。早期再開を決意したが、行政の支援を得るには時間がかかる。思いついたのがCFの利用。その際に、あえて乾燥した泥がついたミニカーやブロックなど捨てられずにいたおもちゃ約320個を、寄付した人への「お返し」にすることにした。
7月13日からCFの大手サイトを通じて呼びかけ。9日目には修繕や教材の購入に必要な400万円を上回った。「一日も早い再開を願っています」「子供たちの笑顔が戻りますように」。サイト上には応援の声が寄せられる。9日午前10時現在、504人から471万8千円が集まった。
施設は内装をやり直し、泥のかきだしや断熱材の入れ替え、消毒作業などを進めてきた。利用する子どもたちも壁のペンキ塗りや棚作りを手伝い、被災前の姿を取り戻しつつある。
11日にはセレモニーのほか、流しそうめん大会をする予定だ。利用者の子ども以外も受け入れる。「全国からのご支援を頂き、すごく感謝しています」と滝沢さん。「明るいニュースを自分たちが届けることで、周りに勇気や希望を与えられたら」(金山隆之介)